「座ってるだけで楽そうだよね」とか、「君達意識のある患者診たことある?」とか。
麻酔科というのは歴史が浅くて、実際見た目楽そうで、外科医からはいつも格下の扱い。
15年ぐらい前。蔑まれた生活が続くなか、あるとき教授がみんなに告げた。
一人に石を投げられたら、二人で投げ返せ。
二人に石を投げられたら、四人で石を。
八人に棒で追われたら、十六人で追い返し、
三十人に中傷されたなら、六十人で怒鳴り返せ。
千人に襲われたら、全員で立ち向かえ。
それはまるで決起を促す檄のようですらあった。
麻酔科はそれ以来、何かあると一団となって対処した。
外科系各科はそう思い、手術室の権限を麻酔科に一任した。
戦いを繰り返していくうちに、病院は平和をとりもどしていった。
麻酔科の団結力は、今でも最強。労働時間も、時間料金も拘束されて、全国共通。
5分麻酔でも1時間分の料金を取るし、手術中に患者が急変したところで、時間になれば