2007-02-15

水を掛けて下さい

乾いた体に、胃に、口に、耳に、心に、正義に、夢に、舌に、腕に、指先に、爪に、髪に、瞳に、鼻に、眉間に、

罵倒の水でもいい、知らせてくれ。

ぶちまけてくれ、吐かせてくれ、俺を殺してくれ、自分に殺させてくれ、あんたの首輪をはめてくれ、

俺を飼ってくれ、でなきゃ喰ってくれ。そして吐いてくれ。

なんでもかまわない、出口を与えてくれ。ベルトコンベアで俺を運んでくれ。どこまでも運んでくれ。

ちぎって投げ飛ばしてくれ、踏みつけてくれ、ちりちりと燃やしてくれ。

月に埋めてくれ、愛してくれ、体にキスをしてくれ。穴を開けてくれ、開いてくれ、さばいてくれ。

磔にしてくれ。

喉にボールを詰めてくれ、抱きしめてくれ。

家まで来てくれ。それだけでいい。

夢を与えてくれ、強烈な痛みを与えてくれ、無痛を与えてくれ。

右手を差し出してくれ、手をつなぎたい。

氷を口にはさんでくれ、そしたら走り初めて、見えないところまで行ってそこで死んで何かになるから。

悪い助言をくれ、耳元に囁いてくれ。あいつは死んだと囁いてくれ。

道路の下に埋めてくれ。そしたらまた思いがけない朝から芽を出すから。君の眼に心に映るほどの希望を感じさせてやるから。

苦しい血を吐き出したやつを水に見立ててかけてくれ。

生き写しの鏡の鋭い破片で傷を付けた大気の中から隠されている部分を見つけてくれ。

もっと大切なことを知ってくれ、今度はそれを大声で叫んでくれ。いつまでも叫び続けてくれ。新しい人になってくれ。

僕らはハイウェイをトランジットするマングースだから。全てに優しくなきゃいけない。

隣の同僚の為に轢かれたんだ、それだけさ。でもそれが大切なのさ。それに全てをかけた。

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