SMクラブでは、ローソクを垂らしたり鞭を振るったりするほうがサービスを提供する側。
クラブでは、サディストとマゾヒストとは一種の演劇的な時空間を共有するけれど、
M嬢に鞭を振るう趣味の男性も、何年かすると相手にサービスを提供し続けることに疲れてしまって、
いつのまにか、縛られたり、ローソクを垂らされたりする側に回ることが多いのだという。
クラブの「女王様」というのも想像以上にハードな仕事。ただ相手を痛がらせるんじゃなくて、
相手が罰を受ける理由とか、相手が満足できるような主従関係とか、お互いの関係という物語を
常に創造し続けなくてはならず、頭の回転がよくないと続かない仕事なのだという。
高級官僚とか、弁護士や医師といった実世界では「鞭を振るう」仕事をしているように見える人達には、
こうしたクラブで鞭打たれる側に回ることが多いのだそうだ。
こんな人達は、たぶん実世界では誰かに「サービスする」ことに情熱を燃やしつづけていて、
その疲れを誰かにサービスをしてもらうことで解消したくて、わざわざお金を払って痛い思いをする。
年度末になって、1年の厄落としにSMクラブに出入りする高級官僚の数なんかを統計とってみると、
何か面白い傾向が見えるかもしれない。
SMクラブの門をくぐる官僚の数が減ってきているなら、日本は相当終わっているかも。
クラブの門を叩く必要がなくなった人というのは、たぶん実世界で「鞭を振るう」気力が萎えてしまって、
もはや発散しなくてはいけない「何か」すら無くなっているのだろうから。