着々と街を飾っていくクリスマスのイルミネーションは、きっと特別な何かでできている。
その何かは、僕から心の温かさを奪って、
その温かさを恋人たちに分け与えるはたらきをする。
そしてその何かは、電気ではなく、その過程での余剰エネルギーでもって発光しているのだ。
だから僕はあんなにきらびやかな光を見ているのに、心が寒く、ひもじい。
だから恋人たちはあのきらびやかな光を見て、きっと、たいそう心を躍らせる。
そしてだからこそ僕は、あの光に近づける自分になりたいのに、なぜかあの光を遠ざけてしまうのだ。
光っているのは、僕の温かさだったものだから。
いつの間にか失って、もしかしたらもう二度と取り戻せないかもしれない僕自身だから、眩しすぎるのだ。
もう一度、温かさを求めに行こう。寒さで心が凍え死ぬ前に。