http://anond.hatelabo.jp/20070225113852
長期的に見れば、実際問題として、恋人は自分を特別な人間になんかできないし、一人の人間との関係だけで孤独感を打破できるわけでもないんだって思う。
そういう段階を超えて行く人達を見ると、もちろん話は巧いし、その人に合ったおしゃれとか、恋人らしいイベントをソツなくこなすっていう小手先の技も持ってる事が多いんだけど、それだけじゃなくて、まったく別の技術を持ってると思う。
リアルタイムで目の当たりにしたし、あまりに生々しく身近で見たから、あまり冷静に表現できないけども、彼らが相手の価値観を受け入れる時っていうのは、もう理解するとかっていうレベルじゃなくて、もうそれらのカップルは互いの接触面から価値観が拡散しあってる状態のように見えた。
価値観が接触する、接触した価値観が片っ端から化学反応みたいなのを起こして、別のものになっていくようだった。お互い、多少はおっかなびっくりだけど、それを楽しんでいるようで、ああすげーこれが人間のコミュニケーションの真価かと思った。
少し罪悪感はあったけど、なんとかそのカップル(2組しかいないけど)とお近づきになって話してみた。
まず自分を含めた3人で話すと、共通の考え方を持っていると感じる。二人だけの世界をどこかで造ってるんじゃないかと思うくらいだった。もちろん別の人間だし、いう事成す事違うのだけれど、どこか似ている。
表面的な所で、ふとした拍子にせりふがかぶったりするし、よくよく観察すると仕草が同期したりする。と言ったほうが具体的で分かりやすいのかもしれない。
でも外には、恋人以外の人間関係があるから、変化させにくい(させてはいけない)価値観だってあると思う。それで、片方のカップルは別れてしまうところまで見た。
彼らは他の人間関係が完全に切れてしまって、外から切り離されてしまった。それからの話はほとんど入ってこなかったけど、そう経たないうちに別れてしまったようだ。後から個別に話を聞いたら、なんと、二人とも同じ悩みを抱えていた。二人だけの世界で、考えることは無限ループしていて、デッドロックに陥っていたのだった。
一人で考えこんで煮詰まるというのは有りがちだけれども、二人でも、外界との接触がなければ煮詰まってしまうのかもしれない。
立ち向かうべき「外の世界」がないと、二人の世界が固定できないっていうのは、恋愛好きな自分にとって、すごく興味を惹かれる事だった。
と言ったら、男の方に殴られた。生々しい。
この10年、自分が何人かと付き合ったり別れたり、他人の恋話を聞いて思ったこと。
多分、恋愛は短期的に見る場合と長期的に見る場合で、別の現象なんだと思う。
嫌な気持ちとか、嫌な現状を打破したい時に、合理的に「嫌な気持ちの元」と戦うのではなくて、誰かに救ってもらおうとする衝動があるんだなぁと感じる。
中高生なら、自分と他人との違いを捜し求めるって言うか、自分が特別でありたいと思ってやるだろうし、それ以上なら孤独感を打ち消すために誰かと親密になりたいんだと思う。
実際、短期的にはかなり巧くいくと思うし。自分は巧くいった方だと思う。
技術的には、話がうまいとか、時勢に合ったおしゃれだとか、そういう「自分と同じ世界に生きてる人だー」ていう感覚を共有する事こそが一番大切なんだと思う。世間一般で言う恋人らしい事こそが、一番大切なんだと思う。
告白しても振られたり、付き合い始めても自然消滅しちゃうのは、それができてないケースだと思う。自分も、友人も。
それが、いつからか状況が変わってくる。
付き合い始めた時みたいな楽しさが無い(ドキドキしなくなった)とか、自分はこんなに愛しているのにわかってくれないと、お互いに言い始める。
時間が経てば、恋愛関係と普通の人間関係を比べて「自分は本当は特別じゃないのかな?」とか思っちゃうし、親密っぽい感じを維持するのに疲れて「これって結局孤独じゃないのかな?」とか思っちゃうし、“世間一般で言う幸せな状態”が思ったほど幸せじゃなくて……みんな結局「相手の愛が足りないよ。」とか思っちゃう。自分はそれで別れたりした。
長期的に見れば、実際問題として、恋人は自分を特別な人間になんかできないし、一人の人間との関係だけで孤独感を打破できるわけでもないんだなぁと思った。