いよいよ明日から起案4連発です。それに加えて模擬裁判の記録も検討しなければなりません。泣きそうです。
さて、昨日に引き続き、事実認定の話をしたいと思います。
眠いので資料も見ずに殴り書き。
証拠には、大きく分けて、書証と人証の二つがあります。
書証というのは平たく言えば、書類のことです。契約書、とか、領収証とか。
ですが、現実は甘くありません。書類だけで、事実関係が全て分かるなんてまれなことです。
そういったときに、書証を補充してくれるのが、人証です。
人証というのは、つまるところ、誰かの証言・供述のことです。要するに、証言台に立つ証人の発言ひとつひとつです。
これまた非常に重要なのですが、書証と違って、人証は非常にやっかいな特徴を持ちます。
それは、証拠として固まっておらず、変動しやすいと言うことです。
たとえば、証言台に立つ証人の気持ちを考えてご覧なさい。
しっかりと準備をして臨んだとしても、慣れない法廷で、衆人環視の中、相手方当事者から詰問され、裁判官からも矛盾をつっこまれ、
そんな状況の中で、きちんと思った通りの答えを言えるとは思えません。
それに、外部から見ても、大嘘をつく証人だっています。
では、そのように儚い人証は、どのように信用できるかを判断すればよいのでしょうか。
これについては、具体的な裁判例の蓄積により、何を考慮要素とすべきかについて、ある程度の類型化に成功しています。
1.利害関係
証人の場合、どちらかの当事者に利害関係があると、そちらの当事者に有利なように発言をねじ曲げがちです。
たとえば、親子関係にあったら、普通はかばい合って、互いに有利なことを言うはずです。
そうでなくても、金銭関係や主従関係があっても同様です。
2.他の証拠との符合
真実を述べているのなら、他の動かしがたい証拠と符合する証言になるはずだ、という経験則によるものです。
実務では、非常にこれが重視されます。
3.供述の経過
供述自体の内容の移り変わり、ということです。
具体的には、発言の内容がコロコロ変わっていたりすると非常にうさんくさい。
供述の変遷といって、これもよく検討事項としてあがっています。
4.供述態度
おどおど、言葉を選びながら話している人を見ると、嘘をついているように見えます。
自信を持ってはきはきとしゃべる人は、真実を述べているように見えます。
もっとも、慎重な人は真実を述べていても前者のようになりますし、一流のペテン師は、顔色一つ変えずに嘘をつくでしょう。
なので、これはあんまりあてには出来ないとされることが多いです。
5.核心部分かどうか
証人が嘘をつく場合、まさに争いなっている部分、核心部分で嘘をつくはずです。
どうでもいい事項について嘘をついても得をしないからです。
したがって、核心部分で、上記1~4の判断要素が満たされるなら信用性は普通以上に増すことになります。
というわけで、供述の信用性についてはこのような判断をしていくのですが、さらに人証の特色を考える必要があります。
なにかというと、100%嘘をつく人も、100%真実だけを述べる人もいないということです。
あっさりと、「あいつは嘘しかつかない」と決めつけてしまうのは思考停止に他なりません。
こういう判断ってのは、ネット上で「あ、こいつ嘘ついてるw」というような場合にも応用できるかも知れませんね。