2021-04-16

(かきかけ)男が魔王に女を寝取られた話

男は女のことをとても愛していた。

女も男のことをとても愛していた。

ある日、男は女が魔王に手を引かれているところに出くわした。

「何を考えているんだ」

男は女を引き留めようとした。

魔王。

それは様々な悲しみを世界にもたらす存在だ。

身勝手に人々を自分の領域に引き擦り込み、二度と返さない。帰って来ることなどあり得ない。

病人、老人、貧しい者、紛争地域に生きる者などといった「弱者」は特に狙われやすい。

凶悪犯罪に手を貸すこともあり、その被害者は数えきれない。

唐突に永遠の別れをもたらしてしまう、理不尽で恐ろしい存在。

そんな存在なので人々は魔王を恐れ、忌んだ。

しかし魔王に魅了され自らその身を差し出してしまう者もいた。

男が愛していたはず女もその一人だった。

「これからわたし、魔王さんのところに行くの。これはわたし自身が望んでるの。ごめんなさい、男くん」

女は答えた。

「残念だったなぁ男くん。彼女は君より俺様のところにいる方がいいんだとよ」

魔王は勝ち誇ったかのように嗤った。

「そんな…… 君はこの前もあいつらに魔王のところに差し出されそうになって、それで泣いてたっていうのに」

《あいつら》。

男の言うそれは、女にとっての迫害者、差別者、いじめっ子、虐待者……

とにかくそんなような言葉が当てはまるような者たちだった。

彼らは何度も女を魔王の元へ突き出そうとし、そのたびに男は間に入って女を救った。

救っていたつもりだった。

 何故「つもりだった」なんて付くんだ?

 そんなの決まってる。

 今まさに女が魔王のところに行きたがってるからじゃないか。

「ええ、魔王のところに行かされそうになって……わたし、本当に辛かった。そして男君はいつも助けてくれて……本当に嬉しかった」

「でもね、わたしの心の穴は男君じゃ埋められないの…… どうしようもないのよ」

「それで、俺より魔王を選ぶっていうのか?」

「ごめんなさい、こうするしかないの。魔王さんならわたしを苦しみから救ってくれるから……」

女は隣にたたずむ魔王を見上げた。

魔王は女の顔を見つめ、ほほ笑んだ。

「ああ、俺様ならお前の苦しみを終わらせることができるさ。そこの男は和らげるのが精いっぱいだったが」

「ええ…… お願い魔王さん。わたしを救って」

  • 物書きじゃないからなにか意図があるのかは知らんけど 文末を散らすくらいのことはしたほうが良くない? い、い、い、い、だ、だ、だ、だって文末が続くからリズムの悪さもなること...

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