「この中にパンティー増田がいるって言うんですか?」
おそるおそる周囲を見回す増田。
どれも取るに足りない増田ばかりでとてもパンティー増田には見えない。
パンティー増田とは「パンティー」としか書き込まない狂人ではなかったのか…?
しかし増田は自信満々だった。
「増田くん、なにかおかしいと思わないか」
増田がひとつの増田を指差す。
増田はそれにじっと目を凝らした。
「特に不思議なところはありませんが…この記事が何だって言うんですか、増田さん?」
「よく見たまえ、キーワードリンクがついていないだろう」
あっ、と増田は小さく声を上げた。
増田の特徴のひとつ、はてなキーワードと合致した単語に自動的にリンクがつくそれが、確かにない。
「これは特殊な文字を入れておくとキーワードリンクが無効化されるという増田ハックの一つだ」
「そんなハックがあったなんて…知りませんでした…」
「問題は」増田が顎をさする。
「この増田がなぜキーワードリンクを無効化したかだ」
「キーワードから検索されるのを嫌がった?」
「いや、いや…」増田は首を振り、ディスプレイ上の一点を凝視した。
「この増田は最後に空行が入っているね?」
「え、…本当だ、たしかに空行が入っている。でもこれがどうしたって言うんです?」
「増田くん、スマホではダメだ。こちらに来たまえ」
増田は言われたとおりスマホを置き、増田の膝の上のノートパソコンを覗き込んだ。
「実に古典的なやり方だ。だがそれ故に増田でも使えることはあまり知られていない。そしてキーワードリンクがあるとこの手法は使えないのだ。見たまえ、この空行を選択すると…」
パンティー
「ぱ、パンティー増田!」
「ふふ、名付けるなら『純白のパンティー事件』と言ったところかな…」
増田は満足げに微笑むと、静かにノートパソコンを閉じた。