2020-03-02

増田探偵

「この中にパンティー増田がいるって言うんですか?」

 おそるおそる周囲を見回す増田。

 どれも取るに足りない増田ばかりでとてもパンティー増田には見えない。

 パンティー増田とは「パンティー」としか書き込まない狂人ではなかったのか…?

 しかし増田は自信満々だった。

「増田くん、なにかおかしいと思わないか」

 増田がひとつの増田を指差す。

 増田はそれにじっと目を凝らした。

「特に不思議なところはありませんが…この記事が何だって言うんですか、増田さん?」

「よく見たまえ、キーワードリンクがついていないだろう」

 あっ、と増田は小さく声を上げた。

 増田の特徴のひとつ、はてなキーワードと合致した単語に自動的にリンクがつくそれが、確かにない。

「これは特殊な文字を入れておくとキーワードリンクが無効化されるという増田ハックの一つだ」

「そんなハックがあったなんて…知りませんでした…」

「問題は」増田が顎をさする。

「この増田がなぜキーワードリンクを無効化したかだ」

「キーワードから検索されるのを嫌がった?」

「いや、いや…」増田は首を振り、ディスプレイ上の一点を凝視した。

「この増田は最後に空行が入っているね?」

「え、…本当だ、たしかに空行が入っている。でもこれがどうしたって言うんです?」

「増田くん、スマホではダメだ。こちらに来たまえ」

 増田は言われたとおりスマホを置き、増田の膝の上のノートパソコンを覗き込んだ。

「実に古典的なやり方だ。だがそれ故に増田でも使えることはあまり知られていない。そしてキーワードリンクがあるとこの手法は使えないのだ。見たまえ、この空行を選択すると…」

パンティー

「ぱ、パンティー増田!」

「ふふ、名付けるなら『純白のパンティー事件』と言ったところかな…」

 増田は満足げに微笑むと、静かにノートパソコンを閉じた。

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