2011-01-08

社長が泣いた日

先日の話だがうちの会社社長が辞任した

業績悪化に伴い会長から辞めさせられたと先輩には聞いた。

100人にも満たない中小企業の小さな会社社長は懸命に業績回復に努めてくれた。

僕にとっては初めて出会った「大人らしい大人」だった。

毎日送られてくるメールからは彼の考え方や思想が読み取られ、そのどれ一つとっても考えさせられるメールだった。

社長とは強面で上から押し付ける態度で威張ったりするものだと思っていた。

しかし彼は威張ったりえばったりすることなく物腰柔らかな調子で、しかし目は決して笑うことな淡々と物を諭すような、そんな人だった。

そして12月末の社長最後の出勤日に、

会社の役員の呼びかけで社員全員で社長を見送った。

花束を贈呈したときに、社長は人目をはばからず大泣きした

「もう言葉がない」

から私たちに送られた最後の言葉はそれだった。

彼のストーリーはその日に終わったのだ。

社長という肩書きを無くし、明日から普通の人になるのだ。

65歳という年齢だがまだ働きたいらしく、駐輪所のバイトで時給850円で働くと言っていた。

僕達のストーリーはまだ続いている。

いつか終わる日が来るんだろう、そう思った。

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