2010-07-20

ハンマー

工事現場は気が張り詰めている。

一瞬の判断のミスや遅れで命に関わる重傷を負ったり、死んでしまったりするからだ。

自分だけが傷つくのはまだいいが、たまに自分ミスのせいで他人が酷い目にあったりする。

もしくは他人のミスのせいで自分が。

その日、俺はビル工事現場の、下の階の方にいたのだが、いきなり大声が上から降ってきた。

「あぶなああああああああああああああああああああああああああああああい!!!!!!

咄嗟に右の方に身体を移動させたら、直後、

ばごんッ!

と、自分が一瞬前まで立っていたあたりで凄い音が響いた。

鉄製の足場にへこみを作るほどの大きさのハンマーが転がっていた。

ヘルメットなんかクッキーのように簡単にぶち壊せる代物である。

それが何十メートルという高さから落下してきたのだ。

俺の周りにいた人々が一斉に顔を上に向けて「あぶねぇだろうが!」と怒号を放ち始めた。

工事現場はこの手の事故に最も気を遣う。

ハンマーを落とした人は即座に管理責任者に呼ばれて腹に拳を叩き込まれていた。

ちなみに俺は小便を少量、漏らしてしまったが、これは誰にも言わなかった。

  • はてなは世界を股に掛けてライフハックする高学歴ビジネスパーソンと差別を許さない高学歴ニートのためのものなんで、ブルーカラーの人はちょっと・・・

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