■重箱の隅
重箱の隅のそれを君は珍しいもののように語る。
その目は意気揚々としていて、
このすばらしさを君と共有したいんだという想いが、
ダイレクトに伝わってくる。
僕には重箱の隅のそれが、
重箱の隅におさまってしまう程度の価値にしかみえないのだけど、
それを言い出せずにだんまりを決め込んでいる。
言い出すと言葉の殴り合いになることは必然だからだ。
彼が重箱の隅のそれを
価値あるものと決め込んでいるのは彼の主観。
僕が重箱の隅のそれを
価値のないものと決め込んでいるのは僕の主観。
彼がその素晴らしさを説明できないのが悪いのか。
それとも僕がその価値のなさを証明できないのが悪いのか。
重箱の隅をつついてトラが飛び出てくるのを恐れて、
僕はこの不毛かどうかもわからない彼の説明を聞いている。
もどかしいったらありゃしない。
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