幽霊になりたい
肉体も体験も、ぜんぶ仮想でいい。
モノにはもう触れなくていいので
コピーにだけ触れさせてください。
猫に触れられないのは惜しいけど
コピーの猫で我慢します。
だって、気がついたんです。
なんでこんなに悩ましいかって、
生きるためには身体を維持しなくちゃいけない事になっているから、なんですよ。
僕の意味ある活動なんて
情報を分解しては組み立てるだけ。
人の、モノの間にしか生きていない。
データがストアされる場所にしか生きていない。
だったら肉体なんて必要ないじゃん、ばかばかしい。
草すら食べなくなればいい。
身体がなくても僕はいます。
少し不自由な日本語の中に
本棚に
あらゆるeditの中に。
知能が人工知能になる日が来て
僕は幽霊になります。
仮想の人が人になるときに
再び僕を見つけてください。