原作の雁屋哲と、作画の花咲アキラとで印税を半々にしても、一人辺り相当な額だろう。
しかし私は花咲アキラを心配している。
初期の「美味しんぼ」は絵が荒かった。
少し劇画っぽいというか、
それが、アニメ化の影響か知らないが、
どんどんアニメっぽい類型的な絵になっていく。
どこかで絵柄を進化させるのを、やめたようだ。
ストーリーも、山岡が栗田さんと結婚したりと、安定したものになっていく。
それっぽい料理うんちくを混ぜたりして。
楽な仕事だ。
エゴも満足させられる。
しかもオーストラリアで余生を楽しんでるし。
しかし花咲アキラはどうだろう。
自分のエゴを作品に織り込めれば、辛い仕事にも満足できるだろう。
しかし彼が求められるのは、アニメ的な類型的な絵だ。
こんなの、辛いに決まってる。
それを彼は二十年以上続けているのだ。
恐ろしい忍耐力である。
やめたくても、やめられないのだろう。
ビッグコミックスピリッツの部数にも影響するだろうし。
大金を得る代わりに、
大事なものを失った気がする。
花咲アキラについて その昔、スピリッツで彼のデビュー作「シンペイの航海」を読んだ。 編集の手がどこまで入っていたかは知らないが、親しみの持てる絵柄、 ストーリー構成、味、...