2010-03-12

あの時もしもと思うこと

高校生の頃一度だけ、渋谷スカウトをされた。

駅前の交差点信号待ちをしていた時に、スーツ姿の男の人に丁寧に話しかけられ、高校生かと確かめられた。

肯定すると、その人は名刺差し出しながら

芸能界に興味はありませんか?」

と言った。

当時私はちょいピザで、化粧もしていなかったし服にも興味がなかった。

その時も、多分ジーンズTシャツというお洒落もへったくれもない格好だったと思う。

加えて、ドラマアイドルも興味がなく、そもそもテレビもろくに見ていなかったので、名刺を見もせず、むべもなく断った。

その人は丁寧に引き留めた侘びをし、引き下がった。

あれから八年。

相変わらずドラマにもアイドルにも興味はないけれど、少しはテレビを見るようになった。

別に今の生活に何の不満もないけれど、それでもごく稀に、「高校生の時、渋谷スカウトされて」芸能界に入ったという女性タレントを目にすると、あの出来事を思い出す。

もしかしたら、いかがわしいもののスカウトだったかもしれない。

仮にちゃんとしたところのものであっても、もちろん成功したとは限らない。

けれど、もしあの時、ほんの少しの興味を抱いて話だけでも聞いていたなら、人生が全く違ったのかもしれない。

これから先、もう一生、風俗業界を除いてスカウトなどされることはないだろう。

もしも自分人生で、ほんの少しだけ芸能界などというものに通じる可能性があったとしたら、多分あの一つのやりとりだけだった。

後悔しているわけでは決してないけれど、違う世界を覗く可能性のあった穴はあれだったのか、覗いていたらどうなっていただろうとぼんやりと思う。

覗かなかった現実では、私は平凡な仕事に就きつつちょいピザからピザへと進化した。

覗いていたら、もしかすると身長-120のゲーノウ人的体重で、有吉あたりにとにかく精神性がキツいなどと罵ってもらえていたのだろうか。

結局なにも変わらなかった気もするのだけど。

  • そういって 「まず登録料が●●万云々…」 という詐欺だったんじゃね?

    • そんな登録料詐欺を働かなくても、レッスン料で儲けを出せるんだよ だから結構広いラインの人にスカウトはかけられている 売れてる芸能人になれなくても、立ち居振る舞いに自信がつ...

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