「捨てるなら保健所にもっていった方がいいですよ・・・猫にとっても」
「殺すなんて残酷じゃない!」
残酷という言葉を口にしながら女は飼っていた猫をあっさりと捨てた。肌寒い初秋の山の中に。
産まれてからずっと人間に飼われていた猫が野生に放り出されて生きていけるわけないのに。
「だって引っ越すんだもの。しょうがないじゃない?」
女の目の端には涙が浮かんでいた。
山中に唐突に捨てられた猫はかつての飼い主を見ている。
いや、猫にとっては今もなお飼い主のままなんだろうが。
女は手を小さく振りながら鼻をすすった。「バイバイ・・・」
謝罪に何の意味があるというのか。謝るぐらいなら最期まで面倒をみるか、保健所に連れていけばいいのに。
きっと、その両方が嫌になったのだろう。それが本音に違いない。
女は車に戻った。背後で猫が鳴いた。
「早く乗りなよ」 女は俺にそう促したが、俺は「いやいいです。歩いて帰ります」と言った。
女は怪訝そうな顔をしていたが、結局車を走らせて去った。
女は引っ越すから猫を捨てると言っていた。引越し先がペット禁止の建物なのかと言えば、そうじゃない。
何故なら女の運転する車の後部座席には室内用の小型の犬が乗っているからだ。
つまりそういう事なのだ。欲しくなったら気軽に何も考えずに購入し、飽きたら捨てる。愛玩動物とはよく言ったものだ。
無知なる愛誤の認識なんて所詮その程度。残酷だから保健所に連れて行かないとか、片腹痛い。
これから冬を迎える山の中に捨てられた猫がどんなに残酷な末路を迎えるかあの女は少しでも想像できるのだろうか?
女は知らないだろう。野良猫の最期の惨めさなど。そんな野良猫を捕らえては楽しく虐待する人間が居る事など。
哀れな猫を抱き上げる。腕の中が小さな命が発する体温で暖かくなった。
人間に慣れきった猫は媚びるように鳴いた。
捨てる神あれば、拾う神あり。
そうある意味、命を自在に弄ぶ神に等しいのかもしれない。猫にとって人間は。
生かすのも、殺すのも。飼うのも、虐げるのも。
家路を辿りながら、頭の中で猫をどんな風にしてやろうかと考える。
せめて寒さとは縁遠い、暖かさの中で死なせてやろうと思った。
家路を辿りながら、頭の中で猫をどんな風にしてやろうか (((((((((((((((( ゚Д゚)))))))))))))))ガクガクブルブル
そういう飼い主が本当に信じられない 一貫して動物が嫌いで猫を見つけたら蹴る、って人間よりよほどキモい 死ねば良いのになあ、本当に死ねば良いのに