普段、東大に通うような並外れて勉強の出来る人間と接する機会のない私は
そのお酒の席をけっこう楽しみにしていたのだけれど、
サークルのノリで不味そうな酒を執拗に勧めたり、馴れ馴れしくボディータッチをしてくるものだから、
私も私で空気も読まずに途中でキレて帰ることとなった。
(同席していた友人も、待ってましたと言わんばかりに帰り支度をしたので、
私の判断はさほど間違っていなかったと思う。)
でもまあ、お陰で東大生というものに親近感が沸いた。
(予想はしていたけれど、難関の入学試験をパスしたといっても、
思考回路は私たちとさほど変わらないのかもしれない、と実感出来たから)
ところで、彼らは「世の中の全ての人を幸せにしたい」と語っていた。
最初は冗談かと思ったが本気の目をしていたので、
失礼ながらも私は”こんな頭の悪い東大生もいるのか”と思い、
「はいはい、無理無理」と笑いながら、でも冷たく返した。
これは後になってよくよく考えてみても到底実現不可能な夢だと思うのだけれど、
それでも、”少なくとも私よりは”、
実現する可能性を持っている(あるいは、でっかいことを語る権利を持っている)彼らを羨ましく思う。
・・・で、話の流れで「じゃあ、私も幸せにしてよ」と言ったら、
「人に”幸せにして”なんて言う奴は、絶対に幸せになれない」と返された。
さっき言ってたことと矛盾してるじゃないか、と思ったが、
それはその日彼らが初めて言った”まともなこと”だった。
恥ずかしくなって、「幸せになりたい」と言い直すと、
「いいね、”幸せになりたい”と思ってる奴は、きっと幸せになれるよ」と言ってくれた。
その言葉で、単純ながらも、私はいつかきっと幸せになれる気がした。
こういうことがあったので、やっぱり行って良かったと思う。
まあ、それでも途中でキレたんだけど私は。