「王様の耳はロバの耳」に出てくる理髪師は
どうしても言いたいけれど
井戸に向かって叫んだわけだが、
そういう使い方もできるし、
(ちなみにそういう感じのものを「ロバ穴」と名付けて
心の中で勝手にそう呼んでいる)
何とはなく手持ち無沙汰で
話し相手が欲しいときに
他愛のない話でもあり、
使い方もする。
人と浅く付き合うことのできない自分にとっては
奇妙だがしっくりくる場所でもある。
連絡先を教えない限りは
ほぼ一期一会の関係というわけだから。
ある程度の会話を交わし、
「漫画が好きなんです」という旨を告げると、
漫画を読まないか、ということになる。
そこから「へえ、あんたもナナ読んでるんだ」とならない場合、
だいたい
という話になる。
誰に対しても「よつばと!」を読め、ということにはならない。
押し付けるわけには行かない。
短い間で得た相手の情報と、
それらにより導き出した相手の人間像から
そういうことをして、
「なるほど、読んでみます」や
「名前は聞いたことあります」という返答があり、
ありがとうございましたー、という具合で会話は終了するのだが、
これ、
見返りがない。
「ありがとう」が対価といえば対価だが、
そういうことではなく。
よくある話かもしれないけども、
漫画が返ってきた時に
「あー面白かった、ありがとう」と言われると
「それだけ…?」
とはならないだろうか。
それはまあいいのだが、
漫画そのものを貸すわけではないし、
それを返してもらうわけではないので、
感想を聞く機会がない。
「ああ、おすすめしてよかったなあ」というチャンスがないのだ。
どうしよう。
どうしようもないからロバ穴に書いとこう。
という話。