そんな僕は、大学を卒業後、上京し一人暮らしをしながら仕事をしている。
母が病気になった。
命に別状はないものの、僕は心配で心配で、なぜ東京に就職をしたのだろうかとさえ思った。
ウチの家庭は、父が遠洋漁業の漁師をしており、母が全て弟と僕の面倒を見て育ててくれた。
そんな父は、世間知らず
母は遊ぶことをせず、兄弟二人を育ててくれた。
恥ずかしながら、父と母の強さを知ったのは、社会人になって2年目くらいのこと。
それまで、世間知らずの父を嫌い、真面目過ぎる母を誇りに思ったことが無かった。
しかし、仕事をして一人で生活をしてみると、自分が小さな頃から、両親にどれだけ大切に育てられてきたのかを実感するようになった。
今は、両親を、すごく誇りに思っている。
たぶん、就職するのが1年遅れていたら、母のことを思い、僕は東京で仕事をすることを選ばなかったと思う。
就職する際に母は、ただただ心配だけしてくれていた。
「使い捨てられるんじゃないの?」
と言われたのを覚えている。
今でも、母に電話をすると
「心配しなくて大丈夫」
と言う。
ものすごく心細いはずなのに、いつもそう言う。
自分の性格は母の性格にとても似ているから分かるのだが、母は人に心配をかけるのがとても嫌いなのだ。
「忙しいんだから無理しなくていい」
とも言う。
そんな、事情もあり、並の覚悟で東京で仕事をしているわけではない。
同期になど、負けられていられないので、仕事は頑張っている。
母の強さに、少しでも近づくために頑張って仕事をこなしている。
やはり、母は強い