いなかっただろうか。
「消しゴム貸して」と言いながら消しゴムをひったくっていく奴!
別に消しゴムを貸すのが嫌なわけじゃない。そんな狭量な考え方じゃない。そりゃ消しゴムがないなら喜んで貸しますとも。
ただ、我慢がならないのは「貸してくれて当然」という考え方だ。
消しゴムくらい貸してやるのが当然、という考え方と、消しゴムくらい貸してくれるのが当然、という考え方には数万キロもの隔たりがある。
つまりその裏には「親切はしてもらうのが当然」という思想が潜んでいるのである。
中学のときだったか、試しに断ったことがある。「やだ」と。相手はものすごく不服そうだった。「心が狭い」と言われた。
なんかおかしくないか。だって消しゴムを忘れる過失を犯したのはお前じゃないか! なんでこっちが悪いみたいな感じになるんだよ! だいたいあんた今まで何回筆記用具忘れてきて俺に借りたんだオイ! そのくせなんで成績は俺よりずっといいんだよオイ! 俺のシャーペンで高得点とるなよチクショウ!
そんな事を考えながら消しゴムは結局貸しました。
人に貸した借りは巡り巡って自分の利益になるもんです。お金を貸せる銀行は儲けてる銀行。ノンバンクはここ10年ですさまじい成長を遂げましたとも、ええ。 「貸してくれて当然」...