Hよ。
あいつらは着実に社会で実績を積み上げていってるぞ。
お前は自分に天賦の才があると思い込み、彼らの日頃の鍛錬や積み上げる実績を鼻で笑い、
あまつさえ彼らからの忠告や助言すら自分に対するルサンチマンだと嘲笑っているな。
彼らはお前よりも随分と先に行っていることを理解しているか。
確かにお前の地力は高いと言えるだろう。
サボっているわけでもない。
ただ一点、現実が見えていない。
だから、分からないんだろう。
それとも分かっていて認めたくないだけなんだろうか。
それとも、たとえ今現在彼らが自分より先に進んでいるのだとしても、
自分が一歩踏み出せば一息に追い越せると思っているんだろうか。
どう考えていようとも、お前は彼らに追いつく前にトレーニング不足で失速するだろう。
脇腹の痛みと焼ける喉に喘ぎながら、歩くそれに劣るスピードで走ることになるだろう。
立ち止まればその場で崩れ落ち、レースに復帰できなくなるから足を動かし続けるしかなく、
周囲にも自分はまだコースの上にいる選手なのだと主張し続けるだけ。
積み上がるのは実績ではなく、大口を叩き、睥睨した人々からの反感を基にする嘲笑と冷笑。
その間にも、もはやお前のことなんて眼中にない彼らの背中が視線の先で遠ざかっていくんだ。
それでも、そんなお前に声援を送ってくれる観客もいるだろう。
しかし、プライドが肥大してしまったお前は、格下の人間と見ている相手からのそれも侮辱ととり、
皮肉を吐きかけるか跳ね除けるだろうことが予想できてしまう。
最終的に、気付いた頃には肩を貸してくれる人もおらず、自分が立ち止まっていることを認めたくなくて、
近くにいた自分より劣っていて弱そうな人間をはけ口にするだろうことまでも。
お前の親がそうだったように。
お前はそれが嫌だったはずなのに。
これを読む可能性が高いだろうHよ。
こうする以外にもはや俺の言葉すら聞かなくなったHよ。
そして恐らく、これも鼻で笑うであろうHよ。
俺はもう諦めた。
お前は色々と見込みがない。
一つだけはっきりと言えるのは、
お前はあの人の子供だったということだ。
今まで何度も言った。
そして、これが最後だ。