2010-01-24

水に流そう

うああうああぁああぁあうぁぁぁうあぁうあぅあうぁぅあ

うぁうあううくううぁうぁああああああああぁぁぁぁあぁ

あうあうああうあうあぁあ彼女の前でウンコ漏らした。

ふとんにくるまって一晩泣いて寝て、今もっても、乗り越えられない。

どうすることもできなかった。

絶対に、絶対に、そんなんなったら、もう夢も希望もないってわかってたけど、

お腹が痛くて痛くて仕方がなくて、彼女の手を握って、トイレを探して走ったけど、

雰囲気がよくて人の少ない空港近くのデートコースには驚くくらいトイレがなかった。

途中、手を離して、「待ってて、自分一人で行ってみる」と告げたのに、

彼女は一緒に行くよ、と必死に手を握ってきた。

間違いなく可愛いけど、間違いなく素敵だけど、

僕は危険な戦いに挑むハリウッド俳優の気持ちがわかった。

足手まといになるから、そんな危険な場所に連れて行けない、って思った。

なんなら途中で草むらに飛び込んで済ましてしまおうかなんて思ってたのに、

彼女がいたらそれもできない。

だから僕は、「必ず戻るから。すぐ戻るから」って言ったのに、

彼女はきかなかった。一人は寂しいと言った。

その寂しさの向こう側で、僕はウンコを漏らした。

帰り道、お互い言葉少なで、僕は「ここでいいよ」という彼女に、

「別れよう」

と言ってしまった。

別れるしかないと、その時思った。

「なんで」と彼女は言ったけど、僕は理由なんてひとつしかない、僕はウンコを漏らしたんだぜ?って思ったけど、

「なんか、そういうふうに見れなくなった」みたいなことを言った。

そういうふうに見れなくなってるのは、むしろ彼女の方なはずだけど、

僕はそんな感じにアレンジして、染みつきズボンを上着で隠しながら、

家に帰った。

僕と彼女社内恋愛だった。僕は彼女上司であり、彼女はいつも僕を尊敬のまなざしで見ていた。

僕はそんな彼女が可愛くて、それが僕らのすべてだった。

朝方メールで、「私は気にしてないよ。体調のことだもん」みたいなのが来たけど、

それすらもう僕は受け止めらえず、(っていうか、俺は「そういうふうに見れなくなった」つったじゃん)

って憤りすら感じて、ウンコを蒸し返されて、それを彼女に当たるような気持ちでいた。

もう彼女ごとウンコをなかったことにしたいという思いが強くて、別れたかった。

ウンコ彼女

だけど、時が過ぎて、冷静になるうちに、彼女言葉、握りしめた手の感触や、

僕が絶望してベンチから動けない間に、走ってコンビニからパンツを買ってきてくれた機敏さ、

優しい笑顔で「着替えよ?」って僕の手を握ってくれたこと、

色々思い出して、涙が出た。

ウンコ彼女

恥ずかしい。

思い出すだけで、自分の無力さに悔しくなるし、泣けてくるけど、

ウンコを乗り越えて、やっぱり僕は彼女と一緒にいたい。

漏らしてしまったウンコごと、水に流して。

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