「私はどこに住んでいるのですか?」
右手から声が聞こえてきた
「私はどこに住んでいるのですか?」
僕は右手をじっと見つめながら問い掛けた
「なぜそんなことを知りたいのですか?」
右手から返答がおそるおそる帰っきた
「私の右手には人が住んでいます
その人の右手にも人が住んでいます
だったら私はどこに住んでいるのですか?」
僕は答えた
「僕の右手に住んでいるんですよ」
高揚した声
「よかった
よかった」
僕はもう一度問い掛けた
「どうして喜んでいるのですか?」
「よかった
よかった
左手じゃなくて」
「なぜ?」
「左手にはね
孤独っていうものがあるらしい
よかった
よかった
今までずっと気になっていたんだ
ありがとう」
僕は右手を降ろすと空に向かってつぶやいた
「僕はどこに住んでいるんですか?」
空から不思議な声が響いた
「俺の左手に住んでいるんだ
気づかなかったのかい?」
僕は頷いた
僕は気づいていた