欲目にみても妻がかわいくない。
「小規模な生活」は漫画家の裏話と鬱話を楽しみつつドメスティックな美人妻にニヤニヤする大好きな漫画だ。
お世辞にも福満しげゆきの絵は技巧的に上手いとはいえない。
癖の強い、万人受けする絵ではないだろう。
だが、魅力がある。あの絵は福満にしか描けない。
『もちゃもちゃっとしたカワイコちゃん』
これは「小規模な生活」の1巻で妻を形容した一文だが、正にこれを具現するために有るような絵柄だった。
以前の福満の絵はもっとありきたりな表現だが切れないナイフのような感じだった。
特に「小規模な失敗」「まだ旅だってもいないのに」ではガリガリと細く陰鬱な陰がつきまとっている。
だが皆気付いているであろう、結婚を境に絵柄に変化が訪れる。
折れた木の枝のような絵はふっくらとやわらかく、可愛らしいと思うものは可愛らしく描かれるようになってくる。
きっとこのもちゃっとした部分は、妻と結婚し福満の闇の部分がそれこそもちゃもちゃっと柔らかくなってきたことによって
福満の理想とする妻のかわいさが素直に表現されるようになったんだなあ、とありていなことを考えてしまった。
しかしこの理論を素直に当てはめてしまうと、今の福満の心情はどうなんだ、っていうことになる。
どうしても今の絵は手癖だけで描いてしまい妻を可愛く描こうという気持ちが見えない。
お互い出産という大仕事を終え、だんだんと安定してくるだろうか。
個人的に「小規模な生活」の1巻あたらりがベストもちゃもちゃ妻だったんだがいかがだろうか。
お願いだ、せっかく子供もできたんだし、妻と子供だけで良い。可愛く描こうと努力してくれ。
っていうか、この絵を妻に見せても何もいわれないんだろうか。
明らかにご自分、劣化させられてますぜ、奥さん。
俺個人が勝手に感じている事なので違うかもしれないけれど、 福満は妻に対して以前のような情熱は持っていないと思う。 「家族」になっちゃったんだね。