それは「過搬入問題」だ。
この問題が語られていない時点で、コミケで本当に儲けてる人種がこの論議に関わっていない事が判る。
売るものによって差が大きいが、実はコミケの島中というのは持ち込める本の数が少ない。
通常「大手」と呼ばれるサークルは1000冊売るとそう呼ばれる。
大きなダンボールにギッシリで300ぐらい。島中スペースでは、ダンボール7つでいっぱいいっぱい。ダンボールに本以外何もかも入りきらないぐらい入れるような運用するのも無理で、最大でも1800冊程度だと思う。
1冊500円として(1ダンボール300だと厚さ的に500円ぐらい)、90万円。
90万と聞いて「スゲーッ!」と思うかも知れないが、印刷費もろもろ考えると、利益自体は30万程度だろう。
30万と聞いて「スゲーッ!」と思うかも知れないが、コミケの前後はほとんどのおたくが買い物を控えるので、逆に8月12月はコミケ以外で売り上げが望めない。
1ヶ月30万だ。
でもって更に、その30万が「他の月には無い特別な収入」になるわけだ。
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更に言えば、そんなサークルなんぞほとんどいない。
島中でそこまで売れるとなると、かなり顰蹙モノだ。
ウチも島中でシャッター外まで列が伸びるが、まず島中で列が形成されるだけで大迷惑。それを外に逃がすルートに存在している全サークルに迷惑がかかる。ウチと同程度売れてるサークルが近くにもう1つあったりすると列がバッティングするのでアウトだろうが、近くで別サークルと列のバッティングになった事は無い。
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つまり、どうにかこうにかしてこの「過搬入問題」に対処しない限り、利益30万円の突破はならない。
そして、大概のサークルは「壁にならないとどうしようも無い」と結論付ける。
そう、つまりは
「壁サークル以外は、物理的限界によって、ある程度以上は儲けられない」
のだ。
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過搬入すればいいじゃん、つまりはダンボール10個でも20個でも、持ち込めばいい、と考える人はこれまたそういうサークルになってないか、そういうサークルになって半年経ってないんだと思う。
容赦なく落とされる。大手サークルだろうがジャンルで一番売れてようが落とす。というか落とされた。
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多くの人が「同時は儲かる・儲からない」論をしているが、儲かるぐらいに人気があるサークルが絶対にぶつかる、この「物理的限界」を語る人間がいないので、ああ、所詮は場外の喧嘩だなーと思ってしまう。資料を見て語るだけの限界を感じるのだ。
壁サークル以外は、物理的限界により、利益は上限にぶつかる。そして、壁サークルなら全て儲かってると考えるのも間違い。それは1度でもコミケに来れば判る。「断衝材」と呼ばれる、コミケ壁際の混雑を緩和する為の存在があるし、新刊落としただけで「普段は壁」でも断衝材に落ちる。
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同人ショップはしかし、コミケとは根本的に市場原理が違う。ここで語るにはスペースが足りない。
元々「コミケに参加してるサークルは儲かるか?」という問いなのだから、ショップの話は違うだろと思うし。というかそういう関係ない話を持ち出す人って、どうにかこうにかして同人は儲かるって決め付けたいのかなと思う。
通常「大手」と呼ばれるサークルは1000冊売るとそう呼ばれる。 男性向けなら1000部は弱小扱いでしょ。女性向けでも精々中堅。 そもそも島中は大手とは呼ばない。