2009-08-27

ベン・バーナンキ再選について

FRB議長の再選は、事前の予想通りであった。というのも、今の状況は、まさしく、ヘリコプターからお金をばら撒いている状態であり、この状態を当面続けないと、何も出来ない。皆医療保険制度ですらこれだけ揉めているのに、製造者責任に制限を加え、懲罰的賠償金の請求を認めなくする改革は、ロビイストの本業である弁護士業界の利権そのものに対する挑戦であり、余計に揉める事が目に見えている。

懲罰的賠償金の請求を認めなくするのは、医療過誤裁判における賠償金を引き下げる事と表裏一体であり、こちらを先に進めていれば、保険業界のドル箱である医療過誤保険の保険料を引き下げられ、結果的に、医療費も引き下げられるという見込みもあったのだが、それでは皆医療保険制度を作れないという事で、皆医療保険制度を先にしたのであろう。皆医療保険制度を作ってから、懲罰的賠償金の請求を認めなくすれば、結果的に、皆医療保険制度の経済的負担は引き下げられる事になる。

問題は、そこまでオバマ政権が持つかどうかという点だ。

アメリカの政権は、一期目は内政に傾注し、二期目は外政に出て政権に勲章をつけようとする。これは、四年間、内政に集中すればどうにかなるような経済状態であったから成立した形態であるし、二期目の四年間で決着がつくような規模の相手を選んできたから成立したとも言える。

この前提が、21世紀に入ってから崩れた。四年間で内政を良くし、次の四年間で外政をやると、双子の赤字がどんどん増えていくという構造を見直そうというのは理解するが、それは、世界の構造そのものを変えるという、とんでもない挑戦であった。

これほどの大きな変化に対し、どのように舵を取り続けるかという点で、四年二期を限度とする大統領という制度は、不適切となっているのである。

FRB議長の再選は、ヘリコプターベンを変える時期ではないし、少なくとも、あと四年間は、経済が回復する見込みは無いという見通しに沿った判断である。

10年後の財政赤字累積見通しが、2兆ドルから9兆ドルに増えているが、これは、オバマ大統領の一回目の任期切れ前である4年後には景気が回復し、増税による赤字の解消を前提にしても、9兆ドルという見通しになるという事であり、アメリカが世界経済の牽引車となるという構造に戻る事はありえないとなる。

9兆ドルに対し、金利を5%とすると4500億ドルである。3億人で頭割りすると、一人頭1500ドルの金利を負担する事になる。元本を30年均等返済するとすると、年間2334億ドルの返済が必要で、これも3億人で頭割りすると、778ドルとなる。平均的な家族構成を4人とすると、平均的な世帯主は合計額の4倍を税として負担しなければならないという事になる。

年間9112ドル(約86万円)の増税になると考えて差し支えないであろう。

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