2009-08-13

何から書けばいいんだろう。

浮気から始まる恋ってのは、よくあるんだと思う。自分の場合は、俺が浮気相手だったわけだが。最初はこっちも適当セフレが出来たぐらいにしか思ってないんだけどね。

だから初めの頃ってのは、どっちかと言うと気が楽なんだよ。新しい趣味を見つけたみたいな感じ。色々な発見があって、楽しい。それならそれでよかったんだけどなあ。

もう俺のことしか考えられない、とか言われて。彼氏とも別れた、ってやられたらさ、そりゃこちらも本気になりますよ。自分だって好きだから浮気相手としていられるわけだから。ロックが外れるようなもんだよ。

俺はその時フリーだったから、それならそれで良いと思った。むしろ、正直言って、嬉しかった。勝ち負けの話をしてもしょうがないんだけど、どこかで、俺はあいつに勝った、みたいな感じがあった。

あぁ、そう、相手の男も自分のよく知っている人間だ。色々世話になっている人なので、最初から知っていたらやらなかったかもしれない。

そうそう。最初はその子に彼氏がいることすら知らなかった。ましてや相手があの人とは。いや、何となく気が付いていなかったかと言われれば嘘なんだけど。確証はないまま、体の関係は始まっていた。

嬉しかったよ。元々俺には気があったわけだし。そのおかけで、あの子がいるから、今いる団体に居続ける気にもなったのだし。

でも、彼氏がいる、相手はあの人。知っちゃうとさ、苦しいわけよ。毎日顔合わせているわけだし。だけど、そもそも向こうは浮気のつもりで始めているわけだから、こちらだけ盛り上がるのも悪いし、つらいのよ。気持ちを抑えた。

好きな人が、体だけでもいい、いや心もかもしれない。浮気でも一緒にいたいと言う。それでいいじゃないかと。

しかしその結界が解かれるわけだよ。別れたと。同棲までしていたのに、追い出したと。申し訳ない気持ち半分、男として、何とかしてやりたい気持ちもあった。何より、好きだった。

誕生日プレゼントをあげたり。一緒に住もうと言ってみたり。金なら多少あるから、なけりゃ言えとか。思いつく限り、モトカレを忘れさせるためであれば、なんでもしてやりたかった。

相変わらず俺ら3人は毎日のように顔を合わせる。モトカレがやっぱり元気なくなってたりしていた。彼女もやっぱり罪悪感とかあるのか、ちょっと元気なかったり。でも俺と一緒にいる時は元気だから、大丈夫なのかなとか。

駄目になったのは逆に俺だった。彼女らの関係を知ってからというものの、目の前にあるもの全てが、彼女らによるものに見える。蓄積。そうか、これもか。2人でこれをやっていたのだな。さぞかし幸せだったろう、とか。

時の蓄積が毎日目の前に現れる。お前は誰だ。俺に勝てるのか。全てのものが、俺のいない、彼女ら2人の思い出。

そんなことばかり考えていれば、当然相手にも伝わる。いや、彼女も同じ気持ちだったみたいだ。蓄積は俺だけじゃなく、彼女にも襲い掛かる。俺のことを必死で好きになろうとしているようだった。実際好きだと口では言うのだが。

大切にしたかった。久々に好きになった相手だ。ずいぶん長いこと彼女というものがいなかった。彼女らの思い出をこれでもかと毎日見せ付けられるのはつらいけど、でも、続けたかった。

我慢し続ける俺を見て、暗くなっていく俺を見て、彼女の心はだんだんと離れていった。いや違うだろ。俺の顔が固まっていくのは、お前らのせいだろ。なんでお前が引いてくんだよ。

ある時、モトカレと彼女最近作り上げた作品を、けなした。虫唾が走ると。お前ら今までそうやって2人だけで満足して、作ってきたのかよ。そんなもんに付き合わされる周りの身にもなれよ。

反応は、最悪だった。泣かれた。何故自分でもそんなこと言ってしまったのか。良い雰囲気だったのに。調子に乗ったんだろうか。多分、本心なんだろうな。

でもその反応で、なんか、全て分かってしまったような気がする。結局、彼女は何も変わっていない。モトカレと付き合っていた頃と、俺と浮気をし始めた頃と、何も変わっていない。俺のことが好きだとよく言ってくれたが、それらは全て、努力だったのだろう。

気まずくなっていった。俺は何とか元に戻りたかった。お互いに好きだと素直に言える関係に戻りたかった。必死に口説いた。何が足りない。

「あの人のことがまだ好きです。あの人となら地獄まで一緒に行けると思っている。気が付くとあの人のそばに行っちゃうの。」

あ・・・・って感じだった。それを言われちゃあ、降参だよ。初めて本心を言ってくれた気がした。悲しいけど、それが本当なんだろうなと。納得できすぎて、泣けてきた。

全てが独り相撲だった。最初から結論は決まっていたんじゃないか。俺はなんだったんだ。君らが燃え上がるための、触媒か。

もっとうまいやり方があったんだろうか。あったんだろうな。

君らはまたヨリを戻すのだろうな。お互いの必要性を改めて確認し合うのだろうな。くやしいよ。

俺はまだ好きでいる。何故好きになった。何故俺を好きだと言ったんだ。勘違い、しちゃうだろうが。

早く次に行こうと思っている。飯が喉を通らない。一口食うと、何かもう充分みたいな感じ。

俺が去るしかないじゃないか。過去に加えて、現在未来も見せ付けられるのは、もうたくさんだ。一生やってろよ。一生か、いいなあ。

あー苦しい。

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