私を含めて女が3人、男も3人。全員が20代後半、独身で、
それゆえ、皆それなりに胸ときめくようなできごとを期待していたと思う
(まあ、少なくとも私はそうだった)。
昼間はぞんぶんに渓流遊びを楽しみ、その後、飯盒でカレーをつくり、
夜は焚き火を囲んでクエルボを飲みながら、ジャンガで盛りあがった。
10時頃にはもうみんなけっこう酔っぱらっていた。
前もって厚着はしていたのだけど、かなり冷えて、
レジャーシートの下から地面の冷たさがびしびし伝わってきた。
それで、同じシートの隣でひとり飲み続けているA君(男前。実質初対面)に、
ロッジに先に引き上げようと促そうと、
「ねー、さむいねー、さむいよー」といって、左腕に軽くよりそってやった。
するとA君は、焚き火に向けた顔を一瞬こちらに向けて、
「そっか?」というと、また黙ってグラスを傾けた。
美人でないとはいえ、女が「寒い」と訴えているのに、このつれない反応……
もしやこのバカは、自分を『スラムダンク』の流川君かなにかと勘違いしているのでは、と思った。
へえへえ、わかりましたよ、と心のなかで呟いた。
けど、そのいっぽうで私は、ちょっと真剣に悔しくて、実は、死ぬほどどきどきした。
揺れる炎に照らされる横顔が、やたらかっこよく見えたのだ。
結局、かなり遅くまで皆でだらだら飲み、どうでもいいことをあれこれ話し込んだ。
A君はたまに相槌を打つ程度で、ほとんど喋らなかった(何しに来たんだか)。
男女に分かれ、三角屋根のロッジに帰ったときにはもう、1時をまわっていた。
シャワーを浴び、髪を乾かしてから、寝袋にはいって眠ろうとすると、
A君のことが頭をよぎって、なかなか寝付けなかった。
ぶっきらぼうな態度を男前がすると、時によって相当な効果をもつことを
実体験として、はじめて知った。
女ってそそんなものなのかね……
キャンプから戻ってからは、
ベッドのなかでA君の横顔を思い返しては胸をしめつけられつつ、
ときおり片尻をあげて、屁をこいだりしています。
初対面の対象外がすりよってくるなんてキモイ。
同期だから初対面でない可能性が高いけど、会社の同期男女で山に行くのになにやら期待してる元増田はキモい。
何なんだこいつ。相手はカッコイイ、自分は美人じゃない。 相手につれなくされた。 当たり前だよな。 夜、何故夜這いに行かない?
独身でもフリーとは限らないんじゃないの?
排卵日だったんだ。バレてるよ。