2009-04-10

今日は年に一度のじいちゃんの墓参りの日だ

オレはじいちゃんが大好きだった。

オレが中学生に上がる頃、親父の経営する工場が傾き

オレと2つ下の妹は、じいちゃんの家に預けられた。

ばあちゃんはオレが生まれるよりも前に死んでいたし

ずっと一人暮らしをしていたじいちゃんは、心底嬉しかったんだろう。

オレ達兄妹にいつでも優しく、ニコニコ笑っていた印象ばかり残ってる。

じいちゃんの家で暮らし始めて1年程たったある日、親父が唐突に

オレ達兄妹を引き取りに来て、その生活は終った。

身寄りと呼べるのはオレら一家だけしかなかったじいちゃんが

また一人で寂しく生活する事を想うと、その時は涙が止まらなかった。

そんな大好きだったじいちゃんの墓参り・・・今年は今までと少し違った。

墓の前で手を合わせると、じいちゃんがオレ達家族に語りかけてきた気がした。

いや、気のせいなんかじゃない。紛れもなくあの優しいじいちゃんの声だ。

じいちゃんは家族名前を一人ずつ呼びかけてくる。

大丈夫だよ、じいちゃん。

親父もお袋も妹もそしてオレも、皆ここにいてじいちゃんの事を想っているよ。

長生きして、又来年墓参りにきてくれよ。

寂しい思いをさせて本当にゴメン、じいちゃん。

親父が一家心中なんか考えなければ、今頃一緒に暮らしてたかもしれないのに。

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