三代将軍徳川家光公。彼は祖父家康に似て、鷹狩りが大好きであった。
それはいいのだが、鷹狩りの際いちいち江戸城に戻るのは面倒くさいと、
狩場の近くの民家に下宿をとって、そこで寝起きしていた。
幕閣は
「このような場所では警護も充分ではなく、不心得者による暗殺すら
おこりかねません!どうかご自重を!」
と、諫言するのだが、家光は聞く耳を持たなかった。
さて、その下宿に伊達政宗が訪ねてきた。しばらく狩りの話をしていたが、やがて家光は
「家臣どもはこう言う場所では、暗殺の心配があるなどと言って余に五月蝿く言ってくるのだ」と、
愚痴を言い始めた。それを聞いた政宗、
「それは心配するでしょう。私も何度、鷹狩りの際の家康公の命を狙った事か。」
それ以降家光は鷹狩りの際、下宿を使う事をやめたとか。