寒い上に眠たい。寝たら死ぬぞ、そうかここは雪山なのか。
僕は自分の部屋にいた。目をつぶってそれから眠らないようにしていた僕にとって、それは一瞬自分の部屋なのかわからないほど眩しかったが、自分の部屋でしか、なかった。
この眠気はなんだろう。
昨日の夜、25時くらいだ。友人から電話がかかってきた。
「明日の昼、一緒に食べよう」
唐突に彼は言う。
僕はそのとき、既に布団に入った状態で携帯電話の通話ボタンを押したので
「おー」
と、そんなような返事をする。なんだかんだで他愛もない話を1時間ほどしていると、さすがに目が覚めてくる。普段こんなに長い時間電話をするようなことはなかったが、昨日はなぜか、そうなってしまったんだ。
時計と外の世界の両方が、明け方に近づいてゆく。それと共に僕は、普段人には話さないような話までしてしまう。といっても、とてもくだらない話がほとんどだ。自分の死生観だとか、湯豆腐を食べるときに守っている、自分のこだわりだとか。BackSpaceを小指で押すのか薬指で押すのか、そういうことはそれなりに人それぞれだが、それがどちらだろうと、中指だろうと、相手の人生にあまり影響を及ぼさない。少なくとも、恋人がエンターを薬指で押したから、僕の朝食がレーズンパンからオートミールに変わるなんて事は、あってはならないと、思う。そんなのは何かが間違っていると、僕は思う。