「昨日、彼と寝たの」
どうしてかは、すぐにわかった。自分が漂流しているのを助けるためだ。妻は、愛する自分の為に、船工に体を差し出したのだ。
「抱かれて、どうだった?」
「嫌で嫌でたまらなかったわ」
「俺と彼の、どちらの方が大きかった?」
「貴方のよ」
「アイツはじゃあ、すごいテクニックの持ち主だったのか?」
「全然。とてもつまらないセックスだったわ」
「じゃあ、何度でもお前を抱くほどのすごい精力の持ち主だったとか?」
「全然」
「何度イった?」
「一度も」
「本当か?」
「ええ、本当よ」
「本当の本当に、本当か?」
「ええ」
夫は叫んだ。「俺はお前を許さない!」
「どうして『○○さん、ごめんなさい、私イッちゃう、イッちゃう』と言いながら絶頂を感じなかったんだ!
俺に悪いと思いながらヤツの唾液を飲み込み、精液を口の中に溜め込まれ、男の匂いに酔いながら女の本能をさらけ出さなかったんだ!
そしてどうして今、あいつは出てきて『ほらダンナ、お前の女はとっくに俺のモノになっちまったのさ!』とか言いながらお前を抱かないんだ!」
というわけで、悪いのは変態な夫だろう。