現代日本において、結婚の本質は「二人で決めた契約を二人で守るという誓い」でしょう。その仕組みを保護するために法があるのであって、法が結婚の本質を規定するわけではありません。あなたの話は、その部分で非常に重要なズレを含んでいると思います。
あなたの両親が、『うちの父親はよく浮気をするダメ人間だったけど、そんでも最終的にはうちの母親のところに戻ってきていた。母親も、直接的に父親を責めるのではなく、「好きにしたらええ」といいつつ、他の女に負けないよう努力していると言っていた。』という結婚観を夫婦で共有していたというなら、もちろん誰にもそれを批判する権利はありません。法律上、不倫は一般に「婚姻契約に対する不法行為」に「あたり」ますが、だからといって当事者同士が「契約に対する不法行為ではない」と考えるならばそれだけの話です。誰もそれに異議を唱えることはできません。でも、だからといって一般に不法行為とみなされうるという点を無視するのはやはりNGなのです。
ただ、だからこそ「不倫において、片方が他方を一方的に責めるのは問題だ」という考えには同意します。思うにこの契約とは「二人」で守るものであって、守れなかったからといって「片方に100%の責任がある」と考える考え方は適切ではないと感じる……その点では、あなたの話に100%同調すると言っても良いのですが、それはやはり「不倫を認める」といった話とは全然別の文脈で語った方が良かったと思います。「不倫」はやはり一般的に「いけない/悪いこと」であり「契約の破綻」です。けれどもその破綻から「どうやって二人で立ち直るか」をまず考えるという姿勢が本来求められており、そしてそういう発想こそがそもそも不倫という「重篤な契約の破綻」を二人で予防するためにもっとも重要なことなのではないか……そういう風に語るべきだったのではないでしょうか。それならば、私としては全面的に同意できると思います。