髪を金髪に染めていて肌はガサガサで三白眼で、お世辞にもかわいいとは言えなかった。
ヤンキーっぽいと言ってもタバコを吸ったり夜遊びしたりという程度のもので
別に俺自身が不快な思いをさせられたというような事はなかったが。
その女子が、文化祭の打ち上げの時に小さい子供を連れてきてた。
なんでも、最近再婚した母親の方の連れ子らしく、都合で家に置いていられなかったので連れてきたのだった。
汚れた口を拭いてあげたりして、かいがいしく面倒を見ていたらそのうち同じクラスのヤンキー男子が
「なんかお前、ねーちゃんっていうより母ちゃんみてえ」とからかった。
するとその女子は「ホント?そう見える?」といって、とてもいい笑顔を見せた。
久しぶりに同窓会であったその女子は、髪も黒く染めて落ち着いた服装をしていた。年内に結婚すると言っていた。
結局高校在学中も卒業してからもまったく連絡も取っていなかったくせに、俺はなぜか少しショックを受けた。
これは俺の歪んだ先入観と積極性の無さが生んだショックに違いなかった。
ヤンキーは身内にだけは甘いんだとか、普段悪っぽい人がいい事をすると過剰に良く見えるとか、
いくらでもバカにされそうな話だった。
俺の中でそれだけは間違いなく真実。