始めて見たのは中学生の頃だった。
聞く気のない数学の時間に、ふと外を見たら、町の向こうで何かが降った。
まだ降り出して間もない頃だったので、そう考えると、かれこれ10年くらいになる。
その時は、人とは気付かずに、なんとなくリンゴが木から落ちるようだと思った。
もうそろそろ夏の季語に入れてもいいような気がすると言ったら不謹慎だけど、
ニュースでこの話があがると「ああもうすぐ夏だな」と思うくらいにはなった。
始めて降った頃はそりゃ、一大事だった。
基本的に降れば死ぬ。
高さはまちまちらしいけど、比較的上空から降ってきてるらしくて大概は原型も留めない。
さすがに10年も経つと皆、降下物への耐性はついたが、それでもやはり気のいいものではない。
たまに、民家とか車とか人とかに被害があるし。
10代の女子が空から降ってくるのだ。
神隠しのように消えて、どこかに降る。
あの頃テレビで韮沢さんが「金星人の仕業だ」って、言ってたけど、あながち間違いではないような気もする。
とりあえず「降ってきたのを見掛けたら110番」だ。
ああ、やっぱり、リンゴが木から落ちるようだと思いつつ、