「なんだとォ、ゴラァ! もういっぺん言ってみろ!」「うるさいって言ってるんですよ」電車内で携帯電話をしていた金髪の男と、青白くて痩せたメガネのオタクっぽい男の間でそういうやり取りが行われ、他の乗客の間に緊張が走った。電車は駅に着き、金髪男はメガネ男の胸倉を掴んで駅のホームに引きずりおろした。
「携帯ぐらいでごちゃごちゃ言ってんじゃねえ!」金髪男はそう言って、メガネ男の右頬をしたたかに殴った。メガネ男はホームに倒され、メガネがホームに落ちて、片方のレンズが割れた。ゆっくりと、殴られた男は立ち上がる。
「携帯じゃないんですよ。あなたは『さまよう刃』って小説知ってますか? 女の子が酷い目にあって、その父親が、娘の仇の男たちに復讐していく話です。あなたのやったことって、その仇と全く同じですね。あなたの周りに女の子の恨みが舞ってるんですよ。悔しい、憎い、殺したい、ってね。その声をうるさいって言ったんですよ。携帯じゃないんです」
そう言って、男はメガネに隠れていた目を金髪男に向けた。細く冷たい光を放つ目が金髪男をジィッと刺すように見つめた。
「はぁ? 頭おかしいんじゃねえの? お前!?」そう言いながらも、金髪男の顔に動揺が浮かぶ。
男は冷たい光を放つ目を金髪男に向けたまま、右手をあげて、手のひらを金髪男の目の前で拡げた。
「降って来ますよ。女の子がね・・・」
その瞬間、金髪男は右肩に虫のようなものが付いていることに気づいた。よく見ると、それは小さな人間だった。男が仲間と陵辱し、それが原因で自殺した女の子。顔を上げると、雪のように、男の周りに小さなたくさんの女の子が降って来ていた。冷たい笑いを浮かべた無数の目が男を見つめていた。
「ひ、ひぃいいいいいい・・・降ってきてる・・・降ってきてるよぉ・・・」金髪男はガクガクと頭を振り、恐怖に顔を引きつらせながら、降ってくる女の子を振り払った。ホームにいる客は、まるで一人で踊っているような金髪男を、不審そうに眺めながら過ぎ去っていく。金髪男はそのまま駆け出して、走ってきた通過の特急列車の前に飛び込んだ。
男はホームに落ちていた割れたメガネを拾って、騒然とするホームを後にした。
【降臨賞】空から女の子が降ってくるオリジナルの創作小説・漫画を募集します。
http://q.hatena.ne.jp/1231366704
条件は「空から女の子が降ってくること」です。要約すると「空から女の子が降ってくる」としか言いようのない話であれば、それ以外の点は自由です。
はてなポイントは別に欲しくなかったので、結局参加しなかった降臨賞。 http://q.hatena.ne.jp/1231366704 今回のお題で5つ書いてみたがどれも今ひとつだったみたいだ。 はてブも振るわず、ボ...
ポイントはいらないからという逃げ口上を使って匿名で投稿する態度が一番駄目なんじゃない?と思った。 増田をチェックする人って「完全なる作り話」より「本当にあった○○な話」...
普通に面白いと思ったよ。 どれも構成がしっかりしているね。物書き志望? 個人的には「ホームに降る女の子」が好みかな。ベタだけど。 あ、でも「降ってくる女の子」はいただけな...
もの書き志望です。褒めてもらってちょっとてれてます。 ラノベ文体は好きじゃないんだけど、まだ自分の文体というものが固まっていなくてどうすればいいのか試行錯誤しています。 ...
本職ですらない人間の中にもこれだけライバルが存在し得る。 それがわかっただけでもラッキーじゃない? もう怖いもんないでしょ。
文体が固定してないって時点で書き方が足りない。 自分の感覚に合う話の傾向を把握し切れていない。 傾向がわからないからどのジャンルに向いているか把握できない。 このあたりだろ...