コンビニで肉まんを買って食べてたら、じいちゃんを思い出した。
じいちゃんはけっこう馬鹿な人で、学校もマトモに出ていなくて、家族からも嫌われてたけど、共働きの両親に変わって私を育ててくれた。
だから私は大好きで、いっつもじいちゃんにべったりだった。
じいちゃんは私が学校から帰る時間に合わせて、井村屋の肉まんを3個蒸して待ってくれていた。
肉まん三個は子供の私には多かったけど、じいちゃん大好きだったから全部残さず食べた。
じいちゃんは料理が得意じゃなかったから、肉まんも水分でべしょべしょで、でもあったかくて幸せな気持ちになった。
私が喜ぶとじいちゃんも喜んで、じいちゃんは毎日肉まん三個蒸してくれた。
色盲のじいちゃんは信号の赤と緑がわからなくて、外出とか危ないのに、毎日毎日肉まんを買いにスーパーに行っていた。
ある日、母がじいちゃんを叱った。
毎日毎日肉まん三個も体に悪いから、もうやめてくれと言った。
じいちゃんはちょっと泣いてた。
母はじいちゃんの実の娘だから、ずばずばキツイ事を言う。
私はすごく申し訳ない気持ちだったけれど、母は物凄く怖い人で、だから私も口答えが出来なかった。
14の時にじいちゃんはガンで死んでしまった。
母が棺にしがみついてわんわん泣いていた。
だから出棺もなかなか出来なかった。
私はびっくりするくらい冷静に石で棺に釘を打った。
その間も母は子供みたいにわんわん泣いていた。
骨になったじいちゃんを見て、また母はわんわん泣いた。