2008-12-02

たとえば

夜の帰り道に、

少し前を行く好きな人の背中をみて

ああ、と思って涙が出る。

そういう感情は

何度繰り返しても慣れない。

好きな人がどういう意味で好きなのかはわからない。

父親の背中に、恋人の背中に、片思い中の人の背中に、同僚の背中に、

もしくは親友でも何でもない、ただの同級生の背中に。

そういう夜の帰り道

繰り返すたびにセンチメンタルさを増して私に襲いかかってきて

何度繰り返しても、いつまでたっても慣れることができない。

毎回毎回、繰り返すたびに、

何かの条件がそろって沈黙が一瞬落ちて、

ふと前を行く人の横顔が見えてしまったその瞬間に、

私の涙線をどうしようもなく強い力で刺激して涙をこぼさせる。

うれしいのかかなしいのか恋してるのかさびしいのかよくわからない。

幸せとは少し違う。

ただ少しセンチメンタルで、

しめっぽくて、

でも確実に不幸とは違う。

確実に不幸とは違うので、それでいいのかもしれないと思う。

涙を隠して別れるまでの残りの道を歩こう。

一緒にいる人が、わたしが不幸で泣いていると思われるのは嫌なので。

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