決して周知などされていない。
しかも、今日聞いた噂だと、ある成績基準をクリアすればよいと言う絶対基準ではなく、俺ら新米の中での相対評価だそうだ。
それを聞いて、なんだか嫌な予感がした。
つまり、これから、俺たちの間で助け合いが少なくなる可能性がある。他人のことなんて助けなければ、あるいは有効な手法や情報を握っても自分やごくわずかの自分のグループの人間だけでその知恵を独占すれば、自分(たち)は助かるから。
いや、まだわからぬ。ただの噂かも知れない。
しかし月を追うごとに1人また1人といなくなっているのはなぜだ?
理由が知らされない。
想像をしたくない。
こういう時にも、変わらず誰かに親切にし続けるような人間でありたいとは思っている。
しかしそんなことを言っていたら、次にあの部屋へ送られるのは俺かもしれない。生存率が3割以下のあの部屋へ。
それでも、こういうときによい雰囲気を保つのは俺も含めみんなの小さな心がけが大切で、もしも自己保身のみに走る人間が一定数以上になると、そこから雪崩が起きるように一気に皆のたがが外れて、殺伐としてしまうのではないかと思う。
とにかく、俺は単独での力をつけることにしよう。粛々と。