2008-10-30

「ナーガス」

「ナーガス」

コンビニサンデーアメリカンドッグを購入しようとレジについた私は、突然耳慣れない言葉を受けて顔を上げた。

レジの店員だった。

ちょうど、サンデーレジに出して、アメリカンドッグを追加注文しようと保温ケースの方を向いていたところへの「ナーガス」だった。

ナーガス?

しばし店員と顔を見合わせた。店員は、35歳前後の細身長身の男性。どことなく落ち着きが無い。

もう一度店員が言った。

「ナーガス」

そこで気が付いた。彼は、値段を告げていたのだ。

サンデーは250円。「にひゃくごじゅうえんです。」が、早口すぎて「なーがす」と聞こえたのだ。

「あ、すいません、あと、アメリカンドッグ1つ、お願いします。」

私が追加注文すると、一瞬、眉をしかめてから、さも忙しそうにアメリカンドッグを掴んで紙袋に入れると、サンデーと並べて置いた。

サーガス」

レジディスプレイを見ると、「355円」と書いてあったので、405円を渡す。

「ウータッ」

そう言いながら私の手の中に50円を押し込む。

・・・。

ところであの、レジ袋には入れてくれないのですか?

レシートはもう、別にいいんだけど。

もはや店員はこちらと目を合わせていない。その様子が不自然で、たぶんこれは「袋入れてもらえますか?」といわれるのを避ける為の彼なりの工夫なのだろう。

しょうがないのでアメリカンドッグの袋とサンデーを手に持って、コンビニを出た。

夜11時。風が冷たい。

あの店員、どう見てもバイトだったな・・・まさか店長ということはあるまい。35歳前後でこの時間帯にコンビニバイトか・・・。

最近、たまにそういうのを見かける。

共通しているのが、「いかにも世渡り下手そう」という印象の、35歳ー40歳前後男性という特徴だ。

早口、無愛想、機転の利かなさ、自己中心さ・・・それではこれまでの就職先でも大変だったろうに。

いったいこれから先の長い人生、どうやって乗り切っていくのだろう?

彼の今後を少しだけ考えたが、答えが見つからず、考えるのをやめた。

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