この夏に離婚した。
あと2,3日で数年間過ごした家から引っ越す。
相手とは、もうずいぶん口すらきいていなかった。
できるかぎり顔も合わせたくなかったので、帰宅する時間をずらし、
リビングにいることも極力避けた。
そんなかんじだから、離婚届を出すときも必要事項をすべて紙に書いて説明した。
離婚後にやらなければならないことが多すぎて感傷などに浸るひまもない。
あっけなかった。
あまりにあっけなくて、離婚したという実感がちっともわかなかった。
この週末は、ひたすら荷物の整理と片付いてなかった仕事に追われた。
まだ完全に片付いてないのだが、ちょっと休憩を取ろうと部屋を出たら
ドアの外に手紙が置いてあった。
手紙には、今までありがとう的なことと、体に気をつけてくれといった内容が書いてあった。
あんなに相手のことがいやでいやで、早く離婚して、
相手の存在そのものにおびえる生活から抜け出したかったのに
どこにでもある言葉が書かれた短い手紙を読んだら、少し泣きそうになった。
きらいになったり、口もききたくなければ顔も合わせたくないと思っても
この先、私がいったい何年生きるのかわからんが、ほんの数年間でも一緒にいた人。
出会って、好きになって、ずっと一緒に生きていくのだと思っていた。
だけど、互いの道はもう二度と交わることはない。
離婚届を出しても、苗字が変わっても、あまりピンとこなかったが
今さっきこの手紙を読んで急に実感がわいてきた。
これでほんとうにさようなら。
私は、やっとさよならできる。