2008-09-23

とげ

私は人を好きになったことがありません

私の感情においては負の感情が支配的で

肯定的な感情の発露はありません

心のまわりに厚い厚い城壁を築いて

いつしか心の領域は狭く狭くなってしまいました

灰色の堅固な壁がにこやかに社会生活を過ごし

黒い水のような負の感情が壁の隙間からぽたりぽたりとしみ出しています

私は心を広げるすべがわからず

内壁ばかりを塗り固めています

もしあのとき

私が10歳だったあのとき

あなたがさしのべた手を

好意だと理解して手を取っていたら

私はこうなっていなかったのでしょうか

いつものように私を害する手だと

いつものように私をからかう手だと

誤解してはねつけてさえいなければ

もうすぐ私は

もうすぐ私は

増やした壁に潰されて

心をなくしてしまうでしょう

あのとき私が拒絶したあなたが

今私のようになっていたら

あなたにつけた傷が

取り返しの付かないことになっていたら

それだけが心残りです

とげのように残ったその思いが

私の最後の感情でしょう

大変申し訳ありませんでした

好意だと気づけなかったのです

好きになったことのない私は

好かれたことがわからなかったのです

今どこにいるか行方の知れない、隣の席で学んでいたあなたへ。

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