「あれ、生暖かい」
時刻は深夜2時をまわっているというのに、さすがに真夏の熱気がまだレールに残っていた。
僕は線路に仰向けになった。
あたりはシンと静まりかえり、雲でぼんやりとした星空があった。
僕は自殺するつもりなのだ。
本当は綺麗な星空を最後に目に焼き付けて、そのまま眠りにつくはずだった。いつもこうだ、最後まで僕の人生は。
なにもない時間がながれる。
しだいに目がギンギンにさえてきた。
このまま、目が覚めたまま朝を迎えてしまうかも・・・と、不安が頭をよぎる。
「そういえば、もうすぐオリンピックだったよなあ」
実は、ひそかにサッカー日本代表に期待していたのだ。今回はけっこういいとこまでいくんじゃないかと。
僕はむくっと立ち上がった。
自殺はやめだ。