2008-07-01

http://blogs.yahoo.co.jp/engineer_ryuseigun/42908547.html

「文句じゃなくて事実を述べただけだよ?」

俺も、そういうの時々言っちゃうんだけど、多分これそういう問題じゃないんだよなーって最近思う。

会話って、要するに、単なる情報やりとり、ではないんだよ。言語による情報やりとり、ではないのさ。

間とか場の空気、表情、声色、目つき、相手の立場、etc……そういったもの全てをひっくるめて「会話」なんだと思う。

であるから、「いや単に事実を述べただけだよ」っていうのは、そこら辺がズレてる。

言語情報としては、事実を述べただけだから、問題ないだろう?ってそういう話じゃない。

要は、その情報が、どう受け止められるか?って話。そこが重要なんだよ。

この話で言えば、この文脈で「人工イクラだね」って言ったら、そりゃ「なんだー、これ人工イクラじゃん…」的ニュアンスを感じるものだ。「人工イクラだね」という事を「わざわざ述べた」という時点で、「非難的ニュアンス」が既に滲み出ている(非難でないなら、なぜそんなことをわざわざ言う必要が?と他人は思うから)。(……まあ、この件は正直微妙なところではあるのだが)

勿論、本人にはその気はなかったんだろう。実際なかったといっているし。でもそこが重要なんじゃない。重要なのは、事実か否か、じゃなくて、事実のつもりでいったかいわないか、じゃなくて、周りがその発言をどう受け取るか否か、なんじゃないか。それが、「会話」ってものなんだろう。

自分が今、こういったら、相手がどうそれを受け取るか。相手はどういう意味でいったのか。勿論深読みしすぎはしすぎでまた問題だから、難しいんだけど、そういうことを考えながら相手とあわせながら行うのが「会話」なんであって、こういう「文句じゃなくて事実を述べただけだよ」タイプの人は、そもそも「会話」に参加していない。参加する気がないのだ。自称(他称でもいいけど)理系人、というのは、こういった「会話」に参加する努力を怠りながら、こういったことを言うのがタチが悪い。……自分もだったけど。

「会話」は「討論」でもないし「プレゼン」でもないのである。

「場」「文脈」「表情」「声色」そういったものが関わってくる。

また、相手がどのくらい深読みするタイプか、というのも。

あまりに「読まない」のも問題だが、あまりに「読みすぎる」のも問題。なにをいっても「何?俺が悪いってこと?」などと受け取られてはたまらないし、といって簡単な深読みすら出来ない人間との会話は疲れる。その辺は各自で様々だし、本当に微妙な話なんだけど……何が正しいというわけではないけど、ただこの手の自称(他称)理系人は、寧ろそれを誇らしげに思ってすらいて、「事実事実なのに、深読みする相手がおかしい」と信じ込んでいる(実際この記事のコメントなど見るとそんな感じだ)のが問題。そうではなく、単にこの人たちが、「読みが足りなさ過ぎる」だけ。

他の場面では、あるいは「いや、それは本当にただ事実を述べただけじゃないの?それを変に受け取る方がおかしい」って場面もあるかもわからない。その辺は絶対的な何かがあるわけじゃないから本当に流動的だけれども、だからこそ、「事実としていったのにそう取らない相手がおかしい」という信じ込みは危険だし傲慢であると思うのだ。あんまりに「そういう風にいえなかった自分が全て悪かった」とするのも卑屈すぎるが、「あれ、事実としていっただけなのに伝え方が悪かったかな?」くらいの反省は常に皆が心に留めておきたいところだ。

といったけども、本当は理系人だって分かっているはずなのだ、こんなことは。

事実としていっただけ、というけれども、そんな彼らも、まさか初対面の人に「あなた、顔にあばたがたくさんありますね」なんていわないだろう。何故言わないか?事実なのに?そこを考えてみれば、おのずと分かるんじゃないかと思う。

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