2008-04-01

エイプリルフール禁止令

嘘をつこうとして母親にマジ切れされた思い出があるので四月一日になるといっせいにネタ記事を上げはじめるブロゴスフィアにそこはかとない違和感を覚えつつ数年が経つ。

「おなかが痛い」という下らない嘘で釣ろうとしたおれに向かって彼女こんこんと説いたものだ。

曰く、「なぜ嘘はいけないと思うか」。

曰く、「ならばなぜ四月一日に嘘をついてもいいと思うのか」。

曰く、「その嘘で誰が喜ぶのか。誰が傷つくのか。それを考えた上でその嘘を口にしたのか」。

曰く、「四月一日に嘘をついてもいいという法がどこにあるか」。

曰く、「その嘘はおまえの誇りに照らして間違っていないのか」。

最後に「ごめんごめん嘘だよ、やーい引っかかった」と言ってくれれば笑い話になったのかもしれない。そういう落ちはなかった。そのチンケな嘘で何をしたかったのか今となっては思い出すこともできないおれは、泣きながら母に謝罪し反省し、以来エイプリルフールに一切の嘘をつけないスーパーエゴの枷をはめられて今に至る。既に亡い母と四月馬鹿の話をすることはなかったが、今思えば彼女は感受性が強く傷つきやすい割に決してそれを表に出さない正真正銘の意地っ張りだったので、あれは引き際を見失って息子を泣かせてしまった母の悲しいツンデレだったのかもしれない。

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