2008-01-06

はてな昔話 第○話 狐に抓まれたはしご

 むかしむかしあるところに、いっぽんのはしごがあったそうな。

そのはしごにはよこぼうがいっぽんありませんでした。

ひにひにはしごはふるくなっていきました。

ひがたつにつれて、はしごはあせりました。

とうとうはしごがいいました。

「だれかわたしをのぼってはくれませんか。」

 そこにどこからともなくきつねがあわられました。

きつねはいいました。

「わたしがそのはしごのぼりましょう。」

 それいらいというもの、きつねはそのはしごをのぼろうとどりょくしました。

いちだんぬけたはしごというものをのぼろうとすると、

いらないところにちからがはいってしまいうまくのぼれません。

それでもきつねははしごをのぼろうとしました。

はじめはうたがっていたはしごも、

きつねのけんめいさにこころをうたれました。

しだいにこのきつねはわたしをのぼってくれるとしんじるようになりました。

 そんなあるひのことです。

きつねがさんぽをしていると、うえにのぼるかいだんをみつけました。

どこにでもあるかいだんでした。

きつねはいいました。

「うえにいくならはしごよりかいだんのほうがいい。」

こうしてきつねははしごをのぼることなく、

かいだんでうえにいくことにしました。

 それをみたはしごはおこりました。

はしごはいいました。

「わたしはあなたにすてられました。」

それをきいたきつねはいいました。

「わたしははしごのぼりたいわけではなく、うえにいきたかったのです。」

そうしてきつねはかいだんをのぼっていきました。

きつねはうえからはしごをみおろしていいました。

「あのはしごはりっぱなはしごです。」

 はしごはいまもどこかでのぼってくれるひとをさがしているかもしれません。

めでたしめでたし

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