2008-01-05

ボールペンに火が灯らない

火が灯らない。

私のボールペンから文字を紡ぎ出すためには、とにもかくにも火を灯さないといけない。

マッチの火を近付けても、ガスコンロの火に近付けても、ボールペンはどろっと融けて黒く変色し、鼻をねじ曲げるような異臭を放つばかり。

このままでは火事になってしまいそうだ。

私のボールペン普通ボールペンとは違う。

文字を紡ぎ出すためには炎を灯さなければならない。

それは橙色のまんじゅうの中に赤いいちごが隠れていて、だけどそれらはいたって平面的な映像にしか見えなくて、重さを全くかんじなくて、触ると火傷する。

炎はぱちぱちと火花を散らして、私に語りかけて来る。

「文章を書きたいのだろう。だったら、もっと、もっと火を灯せ。」

私は言われるがままに火を灯し続けてきた。

それなのに、今さら火が灯らないなんて。

ばきっ。

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