粉屋と息子とロバ
『粉屋のおじいさんが子供を連れて、町の市場へロバを売りに行きます。
二人を見た人が
「この暑いのに汗を拭き拭きロバを引いて歩いているよ。
頭の悪い人達だ。ロバに乗っていけば良いのに。」
と言っているのを聞いたおじいさんは、
なるほどと思い子供をロバに乗せました。
しばらく行くと、
「この頃の子供は、自分がロバに乗ってすましている。
年寄りを歩かせて平気でいる。
なんと悪い世の中だろう。」
と、おばあさんが言うのを聞きました。
なるほどと思った二人は交代しました。
またしばらく行くと、旅人が
なんという悪い世の中だろう。
二人とも一緒に乗っていけば良いのに。」
と言いました。
なるほどとうなずいたおじいさんは、子供も一緒に乗せました。
後ろから来た人が追い越しながら言いました。
「かわいそうに。いっぺんに二人も乗るから、ロバはひょろひょろに弱っている。
こんなに弱り切ったロバはいい値段で売れるものか。
二人でかついで行ってやれば良いのに。」
なるほどと思ったおじいさんは、
ロバの四本足を綱で縛って棒でかつぎました。
町まで来ると、
「この暑いのに、ロバをかついで行くなんて、頭が変だ。」
と、この町の人達が二人を取り巻いて大騒ぎをしたので、
ロバが暴れ出し川に落ちてしまいました。』
世間の誰をも、すべてを満足させようなんて、狂気の沙汰だ。
これからは、どんなに非難されようが、ほめられようが、人があれこれ言おうが言うまいが、俺は俺の考えに従う。
ラ・フォンテーヌ