2007-10-09

世間の誰をも、すべてを満足させる!

粉屋と息子とロバ

『粉屋のおじいさんが子供を連れて、町の市場へロバを売りに行きます。

二人を見た人が

「この暑いのに汗を拭き拭きロバを引いて歩いているよ。

頭の悪い人達だ。ロバに乗っていけば良いのに。」

と言っているのを聞いたおじいさんは、

なるほどと思い子供をロバに乗せました。

しばらく行くと、

「この頃の子供は、自分がロバに乗ってすましている。

年寄りを歩かせて平気でいる。

なんと悪い世の中だろう。」

と、おばあさんが言うのを聞きました。

なるほどと思った二人は交代しました。

またしばらく行くと、旅人

「この頃の年寄りは、子供を歩かせて平気でいる。

なんという悪い世の中だろう。

二人とも一緒に乗っていけば良いのに。」

と言いました。

なるほどとうなずいたおじいさんは、子供も一緒に乗せました。

後ろから来た人が追い越しながら言いました。

「かわいそうに。いっぺんに二人も乗るから、ロバはひょろひょろに弱っている。

こんなに弱り切ったロバはいい値段で売れるものか。

二人でかついで行ってやれば良いのに。」

なるほどと思ったおじいさんは、

ロバの四本足を綱で縛って棒でかつぎました。

町まで来ると、

「この暑いのに、ロバをかついで行くなんて、頭が変だ。」

と、この町の人達が二人を取り巻いて大騒ぎをしたので、

ロバが暴れ出し川に落ちてしまいました。』

世間の誰をも、すべてを満足させようなんて、狂気の沙汰だ。

これからは、どんなに非難されようが、ほめられようが、人があれこれ言おうが言うまいが、俺は俺の考えに従う。

ラ・フォンテーヌ

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