私も昔から体育の時間が怖くて仕方がなかった。
バスケでもサッカーでもソフトボールでも、活躍する場など一つも無かった。
バレーボールともなれば、当然お荷物どころかゴキブリのように扱われた。
懐かしいな。ドッジボールの時は、いつも挑発されて近づいていって、ここぞと速球を投げられて、いつもやられていたよ。
高校に入ってから一念発起して空手と合気道の道場に通い始めた。
モチベーションは、かつて体育で俺を馬鹿にし続けていた奴等への復讐だった。
やはり格闘技はいいと思う。
本気で3年ほど続ければ、もう雰囲気には面影がなくなる。
いきがってるあんちゃんに絡まれて泣きそうになっていた昔の私はそこにはいなかった。
大学の飲み会などの帰りには、××(私)がいるから、帰りは安心だねと頼られることもあった。
未だにDQN高校生みたいな風体で歩いていた彼らは、私を見るなり、トボけた声で、
おめー今なにやってんのー
と聞いてきた。ここで私が無職だとでも答えると彼らは下卑だ笑いを浮かべて嘲笑するだろう。
そう思うと唐突に怒りがこみ上げてきて、私は正面の茶髪に頭突きを見舞った。それから顔を適当に殴った。どの辺りに当たったかは覚えてないし見てない。鼻血が出たのは見た。
左のダボパンは顔を守っていたのでローキックをかました。それだけでダボは倒れて立ち上がらない。なんと脆い足だろう。
もう一人は丸井系だった。何を勘違いしているのかヘアピンを付けている。
この時点ではもう私は気持ちが昂りきっていて、思わずそのヘアピンの前髪を掴んで手元に引っ張り股間を蹴り上げた。
狙いは外れてヘソの下辺りに当たった。しょうがないので膝で鳩尾あたりを何度も蹴ることにした。
私はすぐに逃げた。
家に帰って改めて考えてみると、無意味なことをしたなぁという気持ちでいっぱいになった。
その場ではとても気持ちよかったが、ポジティブな気持ちから来る行動では全くなかったからだ。
休みが明けて大学に戻った時、そこには私を信頼してくれる人たち、私を見下さない人たちがいた。
それでもまぁ、充実はしているよ。
(この話はフィクションです)