今頃の時期は、当時入っていた音楽サークルで学園祭の準備をしていたころだったろうか。
グループを組んで、毎日毎日練習を繰り返していた。
大学の近くの公園や、バンドのリーダーの家で集まって、同じ曲を何度も演奏した。
うまくいかず、少し摩擦が起きることもあったが、目標を同じくするメンバーとして仲良くやっていた。
11月の学園祭をやり遂げたのち、同じメンバーで次の発表を目指した。
しかし、この辺りから徐々に不協和音を奏で始める。
実力がないやつ(自分)。
練習に遅刻するやつ。
バイトが忙しくて参加できないやつ。
バンド内で付き合うカップル。
始まらない練習。
目に見えて雰囲気が悪くなり、口論の回数も増えた。
日をかさねるごとにそれは激しくなる。
ある日、練習場所に使っているリーダーの部屋で、遅刻したメンバーを待っていた。
しかし、1時間ほど待っても来ない。
空気の悪い中、待っている時間が馬鹿げているように思えて「馬鹿馬鹿しい」と呟いた。
聞いたリーダーは「じゃあもう辞めるのか?」と返す。
「ああ、もう来ない」そう答えた。
逃げるように部屋を飛び出す。
ドアを閉めたあと、リーダーが「死ねぇぇぇ!」と声を張り上げて、部屋のドアに何か投げつけた音が聞こえた。
その後、最後に一度だけ集まって話し合ったが、なにも状況は変わらなかった。
リーダーと電話で話すこともあったが、お互いの主張を聞き入れず、罵倒しあうだけの結果になった。
暗い部分を持った思い出ではあるけど、これも悪い思い出じゃあない気がする。
自分たちの幼さが強烈にぶつかりあって、その結果が悪い方向に行ってしまっただけ。
今の自分を作り上げた、なくてはならない経験なんだろうなと思う。
バンドを抜けた僕はサークルを辞めて、以降バンドのメンバーとは会っていない。
多分みんな社会人になっているだろう。
最低な別れをしたのに、今もう一度会いたい気もする。
西の方
「一年生」って言い方は全く馴染まないんだよ。