もうだいぶ前の出来事だし、それに許される行為じゃなかった。
思い出さないようにしていたら、いつの間にか思い出が薄らいで、普段は忘れていた。
最近、ふとしたことで、昔付き合っていた彼女らしき人が亡くなったらしいという話を知った。
彼女には、家庭があった。
子どももいた。
火遊びだったかもしれない。
その場限りの、儚いことだったかもしれない。
でも、本気で好きだった。
それは確かだ。
最後に会ってから、もう9年経った。
彼女の子どもは大きくなり、母親の死を現実的に知る年齢になった。
子どもたちは、彼女のことをどう思って、どんな風に心に残しているのだろうか。
彼女は彼らとどう生き、逝ったのだろうか。
そして僕はどう生き、そしてどう逝くのだろうか。
僕が犯した過ちが、関わった人の最期を見えなくしている。
でも、何かのゆかりがあったから、そうなったのかもしれない。
僕と彼女にとって、必要なことだったんだろうと、自分勝手ながらも思う。
今、僕には逝った同じ心の病を持った彼女がいる。
僕にできること、そのすべてを今の彼女に捧げていこうと思う。
持てる愛情、できることそのすべてを注いで生きていこうと思う。
たぶん、それが僕にできるすべてなんだろうと、そう思う。
僕は、悩みながら迷いながら間違えながらも、どうにか生きてきた。
これからもどうにかこうにか、やっとの思いで生きていくだろう。
だから、命ある限り、愛する人のためにこの命を使って生きたい。
そうやって、生きて逝けたら、幸せなんだろうと思う。
豆泥棒がバレなくてよかったね